こんにちは じんじょ(@jinjolifeshift) です。
今回は、海外駐在の光と闇「闇編①」です。
(「光編」はコチラ )
一見、きらびやかなイメージを抱かれる海外駐在ですが、駐在員ならではの苦労もたくさんあるのです…
今日はそんなお話です。
前の記事「海外駐在の光と闇(光編)」はコチラ:
海外駐在の光と闇(光編:駐在員生活を通して得た異文化理解と自信)目次
うつ病を発症する一つの「きっかけ」となってしまった海外駐在
前の記事では、海外駐在の「光」の部分、駐在経験を通してわたしが「何を学び、何を得たのか」について振り返りました。
「駐在員生活はどうだった?」
という、現地の方からいただいた質問に対する回答は、一通り整理することができたと思っています。
その方も、外国人であるわたしの目から見て、「自分の国」がどう映ったのか、興味があったのでしょう。
当時はうまく答えることができませんでしたが、またお会いする機会があれば、ぜひ今のわたしの気持ちをお伝えして、感想を聞いてみたいところです。
ただし、実際の駐在員生活は良いことばかりではありません。
部分的には、わたしがうつ病を発症する「きっかけ」ともなってしまった海外駐在。
何がどう大変だったのか、今回は「闇」の部分について振り返ってみます。
海外駐在の「闇」
「闇」については、「光」の話以上に、人によって意見が分かれるところかもしれません。
捉え方次第では、逆に「チャンス」にできるところだと思います。
わたし自身の能力不足が多分にあったことを折り込みながら、あくまで一個人の意見としてお話させていただきます。
じっくりと振り返ってみると、わたしにとって「海外駐在の闇」は以下の3点にまとめることができそうです。
- 狭いコミュニティ内の「同調圧力」
- 「日本との隔たり」に悩む日々、OKY
(オマエガ、ココニキテ、ヤッテミロ) - 「家族」の負担
以下、順番に説明をしていきます。
① 狭いコミュニティ内の「同調圧力」
前編の記事で、
- 日本では接点のなかった部署の人々
- 日本にいれば部長職に相当するような方々
と、「友人のような距離感」でお付き合いさせていただける話をしました。
これは、メリットであると同時に、デメリットにもなり得る部分です。
すなわち、「同じ会社で、同じ国に駐在をしている」という限られた狭い範囲のコミュニティが、如何ともし難い「同調圧力」を生じさせてしまうのです。
わたし自身も加担してしまった「同調圧力」の醸成
同調圧力。
わたしのいた環境では、その一つが「ゴルフ」でした。
それなりにゴルフを楽しんでいた身でありながら、こんなことを言う資格はないのですが、正直「ゴルフの取り扱い」には大変苦労しました。
まず前提として、帯同してくれた奥様方の多くは、あまりゴルフを快く思っていません。
平日の夜は「接待」で遅くまで家を留守にし、週末も「ゴルフ」で家族をほっぽり出してばかりの夫に対し、当然の感想かもしれません。
3つ目の「闇」とも関連する部分なのですが、駐在員の奥様方には、自分のキャリアを投げ打ってまで、夫に付き添う決断をされた人が大勢います。
そんな彼女らが、自分の「人生」を犠牲にしてまで付いて来てくれたにも関わらず、知り合いが一人も居ない異国の地で、唯一頼りになる旦那からも放置され、一人置き去りにされてしまう状況。
駐在している家族特有の、大きな「闇」です。
ご多分に漏れず、うちの妻もゴルフを毛嫌いしていました。
ゴルフをめぐって、妻とは数え切れないほどケンカをしました。
どうしてそこまでしてゴルフをやるの?と思われるかも知れません。
わたしが勝手にそう感じていただけなのかもしれませんが、そこには厳然としたやらざるを得ない「空気」がありました。
必ずしもネガティブな意味ではありません。
部署も仕事も年代も、すべてが異質である駐在員同士をつなぐ「共通の話題」として、ゴルフにはただの趣味以上の役割があったのです。
それ故に、新たに赴任してくる人が「ゴルフ経験者」となれば、みな大喜びです。
日本では未経験だった方も、ほとんどの方は赴任後にゴルフを始めることになります。わたしもそうでした。
ゴルフをやらない方は、肩身の狭い思いをされていただろうと思います。
もちろん皆大人なので、あからさまに仲間外れにするようなことはしません。ゴルフをやられていない方にも配慮をして、目上の方も気を配ってくださいます。誰が悪いというわけでもありません。
それでも、如何ともし難い「空気」がそこにはあるのです。
駐在員であるからには、ゴルフに興じるべきだという暗黙の「空気」。
ゴルフをやっていない人が、それとなく居心地の悪さを感じてしまう「空気」。
わたしには、その「空気」を無視して、跳ね返すだけの勇気がありませんでした。結果的に、わたしも「空気」を作り出すことに加担してしまったのです。
- ゴルフをしていないと、せっかくの交流のチャンスを逃してしまう
- 実際スポーツとして、狙い通りのショットが打てたときはとても楽しい
そんな気持ちと裏腹に、ゴルフに出かける度に妻とケンカになってしまう週末がとても憂鬱でした。
完全な「板挟み状態」に悶々とする日々でした。
会社側にはもう少し、家庭を持つ駐在員にも配慮した空気を作って欲しい。
妻にももう少し、夫の仕事付き合いに理解を示してほしい。
自分勝手なわがままではあることは、重々承知しているのですが…
「人の3倍」仕事をする営業職
夜の「接待」も、同調圧力の一つでしょう。
もちろん、日本では接点のない方とお話ができるという、ポジティブな側面もあります。
ただし、こちらも奥様方には大変評判の悪い、駐在員の習慣です。
赴任先の国には、日本から代わる代わる出張者が訪ねてきます。
そういった方々を、現地のおいしいレストランにお連れして、おもてなしをするのも駐在員の「大切な役割」なのだそうです。
他社の話ですが、特に営業職の方は「人の3倍」仕事をしなければいけない、と人伝てに聞いたことがあります。
- 昼間の業務
- 夜の接待
- 週末のゴルフ
すべて合わせて「人の3倍」の業務量だそうです。なんともお気の毒な話です。
風のウワサではありますが、その方は「こんな状況では家族を招くことができない」とご家族の帯同を諦めたそうです。
「空気」をはね返す勇気がわたしには足りなかった
「まぁ、駐在先で作った人脈なんて大して役に立たないけどね」
ある人はこう言います。一理あるのだろうと思います。
ただ当時のわたしには、ここまでハッキリと割り切ることができませんでした。
むしろ、「適応力」は自分の強みであり、もっと積極的に人脈を広げていくべきだと考えていました。
(以前の記事にも書いたとおり、この考え方が「心の声」を無視したものであったこと、完全な思い違いであったことに気付くのはずっと先の話です…)
自分は海外でも、「一人でやって行けている」と勘違いをしていました。
妻のサポートがなければ、野垂れ死んでいたかもしれないことに、当時のわたしはまったく気付いていません。
妻の制約がなければ、本当はもっと自由に飛び込んでいけるのに。
本当はもっとできるのに。
完全な勘違い野郎です。
「心の声を聴く」大切さはコチラ:
うつ病闘病記:復職に向けて① 〜「メンタルが強い」の脆さ・「心の声」に耳を傾ける〜駐在家族にも忍び寄る「同調圧力」
同調圧力は、決して「駐在員」だけの話ではありません。
帯同した家族も、狭いコミュニティ特有の「空気」に往々にして悩まされることになります。
駐在員の奥様方のコミュニティは通常、「奥様会」と呼ばれています。
幸い弊社の「奥様会」は、社長の奥さまがとても人の良い方で、温和な雰囲気だったそうですが、会社によっては非常に厳しい戒律があるそうです。
旦那様の役職によってヒエラルキーがあり、毎月の「奥様会」を主催する幹事は、席順にまで気を配らねばなりません。
他社の事例ではありますが、「奥様会」への参加は必須。
よっぽどの理由がない限り、欠席は許されません。
しかも欠席をするときは、理由を「申告」しなければならないとのこと。
数百人規模で駐在員がいる企業の場合(他社の事例です)、こうした奥様方のコミュニティも非常に大規模なものとなります。
わたしの妻はとあるホテルの大きな宴会場で、某有名企業の「奥様会」を目撃してしまったそうです。
立て札には、「〇〇(社名)奥様会 Cグループ」。
妻は、平日の昼間からパーティードレス姿で一同に介する面々に、圧倒されてしまったといいます。
ある国では、企業の垣根を超えた「日本人奥様会」が存在しており、旦那さまの企業によって奥様がランク付けされるという話も耳にしました。
商社や金融系が最上層、どういうわけかメーカーは最下層となるそうです。話を聞いたその奥様は旦那様がメーカーにお勤めだったため、大変な苦労をされたとのこと。ホラーのような、なんとも恐ろしい話です…
以上、狭いコミュニティに特有の「同調圧力」についてのお話でした。
駐在員のゴルフ問題は、駐在員同士の結束を強めるという意味で、決して全面的な「悪」ではありません。
プレーをしている間は楽しかったですし、おかげで交流の輪が広がりました。
妻には大変な苦労をかけましたが、もう一度はじめからやり直すとしても、やっぱり「ゴルフ」をやってしまっただろうとも思います。
会社としても、家庭のことは各々の責任でしっかりやってください、ということなのでしょう。逆に、個人のプライベートに踏み込むわけにもいきません。
ひとり異国の地で頑張っている単身赴任者が、肩を寄せ合い、結束を強め、一致団結してくためには、「ゴルフ」という共通の趣味は大変有益なシステムだったのでしょう。
ただ昨今は、以前に比べて駐在員の年齢層が下がってきており、弊社に限らず家族帯同者が増えてきていると聞きます。そうした実情に対し、こうしたシステムが少々時代錯誤となってしまっている点は、一個人の意見として陰ながら問題提起をさせていただこうと思います。
かといって完全にゴルフがなくなってしまうと、駐在員の関係はもっとドライなものになってしまうのでしょう。一長一短、難しいところです。
現実世界では声を上げる勇気もないわたしに、これ以上物を申す権利はないのですが、少しでも駐在をされている方、帯同されているご家族の悩みが少なくなることを願うばかりです。
長くなってしまったので、今回はここまでとさせていただきます。
(続く)
最後までお読みいただきありがとうございました!
今回は、海外駐在の「闇」の一つ目、
狭いコミュニティ内の「同調圧力」
について書かせていただきました。
引き続き、続編もご覧いただけると大変嬉しく思います。
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引き続き「海外駐在の光と闇(闇編②)」はコチラ:
海外駐在員の光と闇(闇編②:「日本との隔たり」に悩む日々、OKY)
こんにちは
駐在さん……
現地永住組からは異質で異世界で問題の多い人たちでしたね(すみません)
奥様会は輪をかけて暗黒の大奥でした(すみません)
人が羨むようなお給料と家に住んでも、実際にはその対価に合わないほどのご苦労があったんですね。
僕みたいな移民1世は、住みたくてそこに住んでいるので、会社命令でいる訳でもないですもんね。
心を壊す程のストレス、僕も経験があるので辛さが分かります
何を書きたいかわからなくなってきました(笑)
海外は本当にその人次第ですよね
逆に僕は日本に住み続けていたら生きていないと思います
コメント欄汚し失礼しました
bokupapa2さん、コメントありがとうございます。
そうですね、わたしの場合はもともと海外志向のまったくない人間でしたので、余計に辛さを感じてしまっていたのかもしれません。
世間では煌びやかなイメージを持たれているかもしれませんが、駐在員もその家族も、それほどいいことばかりの世界ではないのですね。
ただ、仰るように受け止め方は人によって大きく違うのかもしれません。
妻は働きたいタイプだったので、駐妻に向けられるイメージとのギャップに苦しんでいたようですが、駐在員友人の奥様は、働かなくて毎日のんびり過ごせてサイコー!だったそうです(笑)。
いずれにしろ、海外駐在の実態をもっと多くの人に知って欲しいなぁと思い、この記事を書かせていただきました。
ご感想いただきありがとうございました。