こんにちは じんじょ(@jinjolifeshift) です。
目次
産業医との面談:休職後はじめての出社
復職に向けたプログラムの次のステップは「産業医面談」です。
産業医との面談当日、休職に入ってから、初めて会社に出向くことになりました。
復職プログラムの「最初の関門」といったところでしょうか
最寄り駅の改札を出て会社へと近づくにつれ、徐々に心臓の鼓動が大きくなっていきます。数カ月ぶりの出社、さすがに緊張しているようです。
入り口を入り、会社の保健室へと急ぎます。幸い道中知り合いと出くわすことなく、たどり着くことができました。
保健室では、先日面談をした人事の方が出迎えてくれました。奥の診察室へと案内され、産業医の先生と対面します。おそらく40代でしょうか。今風の少し長めの髪型で、柔和な雰囲気の男性の医師でした。
面談は、産業医と人事との三者面談です。
人事との面談でわたされた「生活記録表」を提出し、最近の日中の過ごし方、睡眠時間などを尋ねられました。
睡眠時間は、夜の12時から朝の7時まで。
通勤に間に合う時間に起きられていることを伝えました。読書やPC作業などは、数時間以上に渡って集中して取り組めています。また精神科に、2-3週に一度のペースで通院していることも伝えました。
復職と同時に職場を変えたい場合は、自分自身で会社を説得する必要がある
続いて、うつ病発症の経緯について、詳細に説明をするよう求められました。
悪しき記憶を無理やりに叩き起こし、駐在時代から、帰国後「うつ病」を発症するまでの経過、上司とのやり取りについて、一通りをお伝えしました。
「、、、なるほど、わかりました。ところで復職と同時に、職場を変えたいと希望しているそうですね?それは、なぜでしょうか?」
少し、引っかかる物言いです。
前の職場に戻ることは、再発のリスクが高い、と感じていることをお伝えしました。
「うーん、それはつまり、上司からまた酷いことを言われるかもしれないってこと?」
産業医からの指摘で言葉に詰まりました。もし仮に前の職場に戻らざるを得なくなったとして、さすがに元上司も、わたしを気遣った大人な対応をしてくださるでしょう。
「いえ、、、それは言われないかもしれないですが、、、原因を取り除けるのであればその方が望ましいと、、、主治医の先生にも言われています、、、」
「うーん、なるほど、実はですね、、、」
と、産業医から「復職に伴う職場変更」に関して説明を受けました。
どうやら、弊社の社内ルールとして、
復職をする場合は元の職場に戻る
ことが、原則となっているようです。
理由は、「医学的に」見て、
- 復職のストレス
- 職場を変えるストレス
の二重のストレスを同時にかけることは望ましくないから、というもの。
もし、復職と同時に職場を変更したい場合は、会社側、つまり上長を、自分自身で説得する必要があるとのことでした。
前回の記事にも書いたとおり、わたしの心は、
復職と同時に、職場を変えてもらう!
ということで決まっていました。
次のステップに移る前に、まずは「上長と職場変更の件について相談をするように」と産業医から支持を受け、その日の面談は終わりました。
翌日、早速部長さんに「面談をしていただきたい」とメールを送りました。
部長さんとの面談の前に、まずはどのように「会社を説得するべきか」十分に作戦を練る必要がありました。
「復職と同時に職場を変えること」に対する主治医の見解
なお、後日、主治医の先生に産業医との面談の件をお伝えしたところ、「医学的に」という言葉に少し引っかかりを感じているような印象を受けました。
「その先生は何科がご専門でしょうか?」
専門までは尋ねませんでしたので、わたしにもわかりません。
主治医の先生も産業医の認定を受けているそうですが、
- 同じ産業医でも、専門によって得意とする領域が大きく異なること
- わたしのように発病の原因が職場にある場合、「復職と同時に職場を変える」という措置は決して不自然ではないこと
を説明されました。
「ただし、産業医の先生のほうが、じんじょさんの会社のことはわたし以上にわかっているでしょう。産業医の先生は、会社側の言い分も聞いての判断だと思うので、どちらが正しいと断定することはできないのですが」
と前置きをされた上で、それでも、主治医という立場で、復帰と同時に職場を変えることには賛同している、とおっしゃっていただきました。
会社を説得するために:父との作戦会議
「復職と同時に職場を変えること」について、同じような経験をされた同僚に相談をしてみました。
その友人曰く、
「主治医の見解がこうだ、ということをしっかり伝えれば、異動は問題なく受け入れてもらえると思うから、それほど心配しなくても良いのでは」
とのことです。
とは言え、部長さんにわざわざお時間をいただいて、せっかく設けた貴重な機会です。「どのように説明をすれば、自分の主張を受け入れてもらえるのか?」しっかりとした事前準備が必要でしょう。
説明の準備にあたり、今回は父のアドバイスが非常に参考になりました。現役のときは管理職を勤めていた立場で、わたしにはない、会社側の視点で意見をもらうことができました。
ポイントは以下の3点です。
- 元上司の悪口にならないように気をつけること。部長さんにとっては、元上司もわたしと同じように一人の大切な部下である。立場上、わたしの意見だけを100%汲み取るわけには行かない。
- 元上司の言葉一つ一つで見れば、あくまで正論の範囲内であったとすると、訴えるべきはむしろ「わたしがどう感じたか」という部分。たとえ正論であったとしても、それが積み重なって行く中で「正論の暴力」と化し、わたしの心が傷ついてしまった、というのは紛れもない事実。そのときに「自分がどう感じていたか」は100%主観的なもので構わない。「辛かった。疎まれていると思ってしまった。必要とされていないと感じてしまった。」など、思う存分当時の心境を伝えれば良い。
- 不用意に同情を引こうと思うべからず。特にプライベートな面に関して、駐在という会社の辞令をきっかけに生じた問題であったとしても、会社側として「家庭の事情」に全く同情の余地はない。
少々厳しい言葉のようにも感じますが、管理職を経験した立場から、つまり会社側の立場から、わたしには気が付かないところを指摘してもらえたので、大変参考になりました。
もともと、うつ病発症の経緯を説明する際に、どうしても元上司の悪口に聞こえてしまう部分に、わたし自身、しゃべりづらさを感じていたところでした。「悪口にならないように」というアドバイスのおかげで、説明の方向性が明確になりました。
部長さん「気付いてあげられなくてごめんね。希望通り異動させてあげられます」
部長さんとは、対面で直接お話をさせていただきました。
産業医面談から1週間、休職してから2回目の出社。果たして、異動希望は受け入れてもらえるのか、復職に向けた最大の山場です。
予約した会議室で部長さんをお迎えしました。
「ご無沙汰しております。たいへん長い間ご迷惑をおかけしました。。。」
お互い席につき、父のアドバイスを受け考えていた以下の流れで、発症の経緯から、異動を希望していることまでを説明しました。
大変長い間、多大なるご迷惑とご心配をおかけしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
ようやく状態も良くなって、主治医から復職の許可がおり、早く仕事に戻りたいと思っています。
ただ、それにあたって、誠に勝手なお願いで恐縮ではありますが、戻る職場を変えていただけないか、相談をさせてください。
駐在時代の振り返り
(自分の能力不足で、終盤は日本と連携が取れなくなってしまった)
元上司との具体的なやり取り
精神的にとても辛かった
(自分はチームに必要とされていない、居場所がない、みんなの足を引っ張っている、上司に嫌われている、疎まれているのかもしれない、、、とずっと悩んでいた)
それでも、「じんじょさんはメンタルが強い」を真に受けて、自分の心にムチを打ちすぎた。ただ自分の気持ちに鈍感なだけだった
一番ひどかったときの症状
(イライラ、病的な癇癪発作、微熱、頭の回転が鈍い、どもってしまい言葉が出てこない、ほぼ寝たきりの生活、不眠、易疲労性)
おかげさまで、今では日常生活を送る上で、ほぼ以前と変わらないまでに回復
(服薬、通院は今後も継続)
発病の原因が元職場にあること
(自分自身、および主治医の見解)
「元職場への復帰」はすでに顕在化しているリスクとして、「職場を変えること」以上に大きなストレスになること
(再発リスクが高まる)
主治医の先生の見解としても、会社の都合はあるにせよ、できることなら復職と同時に職場を変えた方が良い、と賛同してくれていること
怒涛のように一通りを話し終え、部長さんの返答を待ちます。
「大変だったね。気付いてあげられなくてごめんね。じんじょさんの体調優先で、希望通りに異動させてあげられます」
…良かった
ほっとして、小さく、安堵のため息をつきました。
じんじょの会社人生、第2章が始まります!
部長さんとの面談で、無事に「異動希望」を受け入れてもらえることとなりました。
以降、産業医を交えた検討会で、わたしの復職時期が決められました。
まずは出社訓練からスタート。一定の訓練期間を経て、正式な復職となるようです。完全復帰まではもうしばらく時間がかかりそう。
それでも、今は新しい仕事に対して、期待と不安が入り混じった心持ちです。
「出社をしたら元職場にご挨拶に行かなければ、、、」と思うと大変気が重いですが、今の自分であればこうしたストレスも跳ね返すことができるでしょう!
アップデートした新たな気持ちで、じんじょの会社人生第2章がこれから始まります。
最後までご覧いただきありがとうございました!
この記事が、先の見えない不安に苛まれていた、かつてのわたしのような人に届き、少しでも希望を与えられることを願っています。
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2ヶ月前にうつ病と診断され、休職している者です。ブログ参考にさせて頂いてます。私もリフレックスと睡眠薬を飲んでいますが、やはり睡眠薬の依存性が怖く、そのことばかり考えてしまい不安感が増しています。じんじょさんは今もデパスを飲んでいますか?減薬の予定はありますか?
まりもさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
薬に対する不安な気持ち、とてもわかります。
ただ私の場合、闘病記⑦にも書かせていただいたのですが、主治医の「私は投薬管理はむしろ厳しい方です。きちんと管理しているので安心してください」という言葉を信用し、今現在もデパス1錠の服薬を続けています。主治医の先生のことは信頼していますので、今現在薬に対する不安な気持ちはそれほどありません。服用を始めてからすでに半年近くが経過しています。
また、先日の診察で、眠気を強く感じることが増えてきたことをお伝えしたところ、今後復職をしていく過程で、日中の活動量が増してくれば「自然な疲れ」や「自然な眠気」を感じることが出てくるのはむしろ好ましいこと、もう少し先の話ですが、そうしたらデパスを半錠に減らすとか、減薬も検討していきましょう、とおっしゃっていただきました。
初めて減薬について言及されたので、嬉しかったです。
医療従事者ではない一患者の意見であることは、ぜひご留意いただいた上で、少しでも参考にしていただけますと幸いです。
じんじょさん、
お返事ありがとうございます。
そうなんですね、主治医の先生と信頼関係が築けてるとのことうらやましいです。私はなかなか主治医を信じきれておらず。
うつ病のせいだと思うんですが、色々なことを信じることができなくなっています。主治医のことや、自分の回復力なども。そして睡眠に対してもやけに過敏になってしまっていて。焦らずにいきたいと思います。
まりもさん、私の意見を押し付けているように聞こえてしまったのだとしたら、大変申し訳ありません。
『うつ病の発症③』に書いたように、私も初めての診察のときは、主治医の先生が「とても嫌な人」に思えてしまいました。
もし可能であれば、ご家族やご友人などに一度付き添っていただき、第三者目線で病院やお医者さまの様子を見てもらえると良いかもしれませんね。
おっしゃるように、病気のせいで疑り深くなっている可能性もありますので、『お医者さんの選び方』で引用した坪井先生の著書には、「とりあえず半年間、最初の病院に通ってみることをオススメする」と記載がありました。
私の主治医との信頼関係も、1年近くにわたる通院の中で、徐々に築き上げられたもののように思います。
私の場合ですが、ネットで検索した評判の悪くなさそうな病院を2ヶ所まわり、「ベストなお医者さまかはわからないが、少なくとも悪い先生ではなさそう、1軒目よりは2軒目のほうが良い」と付き添ってもらった妻から意見をもらい、今の病院に決めました。
まりもさんの状況がわからず、トンチンカンなお返事となってしまっていたらごめんなさい。
まだ診断を受けて2ヶ月ということですので、今は「休むことに慣れること、焦らないこと」がまりもさんのお仕事だと思って、できるだけゆっくりと心と体を休めてくださいね。
せっかくコメントを頂いたにも関わらず、お辛い状況に何もしてあげることができず心苦しい限りですが、私で良ければまたご連絡ください。
ご自愛下さいませ。
じんじょさん
丁寧なお返事ありがとうございます。
そうですね!家族につきそってもらって第三者目線で見てもらうのもいいかもしれません。私の主治医は睡眠薬反対派で依存のことばかり言うので、とにかく寝かせてほしい今の私はついイライラしてしまって。少しずつ信頼関係が築けたらなと思います。
早く治したいと色々焦ってしまいますがじんじょさんの「休むことに慣れること、焦らないこと」を心にとめておきます。
うつ病を乗り越えて復職されたじんじょさんの体験談はとても参考になり、励みにもなります。またご相談させていただくことがあるかもしれません。
じんじょさんもどうかお身体にお気をつけて無理せずお過ごしください。
まりもさん
そうなのですね、お医者様によっていろいろと考えの違いはあるのでしょうし、あまりコロコロと病院を変えるのは良くないだろうとは思うのですが、よろしければご家族の方にぜひ付き添ってもらってみてください。
ただ私も、睡眠薬が処方されるようになったのは、治療の開始から約半年が経過し、復職を断念して休職期間を延長したタイミングでしたので、もしかすると私の主治医でも、治療初期での睡眠薬の処方は躊躇していたのかもしれません。私は医師ではないので、あまり不確かなことは申し上げるべきではないと思うのですが。
まだまだ小さな症状のぶり返しはあり、再発してしまわないかと未だにビクビクする毎日ですが、今では、長かった休職期間も自分の人生についてゆっくり考える良い機会であったと、前向きに捉えることができています。
こうして、かつての私のように苦しんでいる方に少しでも参考になる情報がお届けできることは、私がこのブログを始めたきっかけでもあり、私自身とてもうれしく思います。
どうぞご自身のペースで、あまり焦りすぎることなく、まずは心と体をゆっくり休ませて上げてくださいね。
コメントありがとうございました。